相続した株式の名義変更はどのように行うのですか?
1 相続した株式の名義変更の流れ
亡くなった方が持っていた株式の名義変更をしたい場合、どのように手続きを行うのでしょうか。
上場しているか、非上場かによっても手続きの方法が変わりますので、ここでは主に上場株式の場合についてご説明いたします。
株式の名義変更には、以下の通り大きく分けて3つの段階があります。
①株式の調査
②証券会社への書類請求
③遺産分割協議書の作成・提出
以降でそれぞれについて詳述いたします。
2 株式の調査
株式を売買している方は、証券口座を複数持っている可能性がありますので、まずは株式の調査から始めます。
株式の調査方法として考えられるのは、以下の2つがあります。
①自宅の書類を探してみる。
②証券保管振替機構に照会をかける。
証券保管振替機構とは、上場株式の売買等の証券関係のインフラを整備しており、誰がどこの証券口座にいくらの株式を保有しているのかという情報を管理している公的な団体です。
この証券保管振替機構に対して、亡くなった方が株式をどの程度保有しているかについて情報がほしい旨を請求することができます。
詳しくは、証券保管振替機構のホームページをご参照ください。
3 証券会社への書類請求
株式がある証券口座の特定が完了したら、その証券会社に対して名義変更の書類を請求したい旨の連絡をします。
証券会社によって名義変更に必要な書類が変わることがありますので、何が必要かをしっかりと確認しておきましょう。
証券会社は、会社ごとに相続担当の窓口を持っており、その窓口が相続関係の書類を受領して、株式の名義変更の手続きを完了することで相続手続きが終了することとなります。
4 遺産分割協議書の作成
ご自身以外に法定相続人がいる場合には、どなたが株式を相続するのかについて決定していなければなりません。
そのため、遺産分割協議書を作成した上で、そこに相続人全員の実印による押印と印鑑証明書の添付を行わなければならないとされています。
遺産分割協議書の作成の際に気を付けなければならない点は以下の通りです。
① 題名が「遺産分割協議書」または「遺産分割証明書」となっているか。
② 日付が書かれているか。
③ 相続する方のお名前が表記されているか。
④ 株式が明確に特定されているか。
(記載例)
第2条 相続人□□□は、〇〇証券××支店口座番号△△△△内の下記有価証券の全部を相続する。
記
1 種類(株式、投資信託等) 会社名
2 種類(株式、投資信託等) 会社名
以上
⑤ 相続人が全員記名しているか。
⑥ 相続人全員の実印による押印があるか。
⑦ 相続人全員の印鑑証明書を集めたか。
これらの要素が全部そろっているかを確認して、どの会社に対しても有効な遺産分割協議書を作成されることをおすすめします。
相続手続には期限がありますか?弁護士にはいつ相談するべきですか? 遺言書の開封に関するQ&A